歌舞伎初体験
土曜日に中村勘三郎襲名披露の夜公演を大阪松竹座へ見に行ってきました。
「新選組!」「阿修羅城の瞳」「真夜中の弥次さん喜多さん」などを見たこともあって歌舞伎役者さんに興味はあったし、しかも大阪では夜の部で「野田版 研辰の討たれ」をするということでこれなら初めてでも楽しめるかな、と。
もともと翌日の7/10に大阪でaccessのライブを見る予定だったのでこの日のチケットを取り1泊することに。
母に声をかけてみたら一緒に行きたいとのことで母は日帰り、私は泊まり、となりました。
3階の3等席でしたが舞台との距離はわりと近く、唯一の欠点は花道がほとんど見えないこと。
これが値段の差なのね。
実は3等席は6,300円ですが1等席は21,000もします。一等席を買ってもよかったんですがあっという間に売り切れてて買えなかったんですよ。
でも最後まで見たらそれだけ出す価値があるね!と母も私も納得。あんなにたくさんの演者とバックで歌ったり演奏したりしてる人たちがいてそれぞれがものすごいプロフェッショナルでこれだけの素晴らしい舞台を作り上げているんだもんなあ。
イヤホンガイドを借りたのですが次の展開がテンポよく説明されていくし役者さんの名前を教えてくれるから白塗りでもちゃんとわかるし、わけがわからずに寝ちゃうこともなく4時間半の長丁場を最後まで楽しめました。
演目は3つあって間に30分休憩があるので休憩中にお弁当を食べたりお土産を物色したりする時間もちゃんとあるんですよ。
なにせ初めてなのでそういういろんなことがものめずらしくていやはや楽しいです。
<一幕 宮島のだんまり>
だんまりというのは暗闇の中でお宝を奪い合う「暗闘」。
なので基本的にはしゃべらない無言劇。
でもほんとうに暗かったら舞台の様子が見えないので実際は明るくてお客さんは「これは暗闇の場面なのね」と解釈して見るものらしい。
テレビでよく放送される「口上」(所信表明のようなもの。「隅から隅までずずずい~と」っていうアレ)は午後の部にはないので見られないのが残念だったけど
その代わりにお芝居の最中に芝翫さんと仁左衛門さん、勘三郎さんでご挨拶。
ガイドによれば話の筋はそんなにきちっとしたものはなくって絢爛豪華な衣装を着た大勢の出演者が一斉に動き出す様をまるで錦絵のように楽しんでください、とのこと。
早口で衣装の特徴と役者の名前を言っていくのでちょっとわかりにくくてうーん、たぶんあそこにいる細身の綺麗な女形が七之助かな?と思ったら最後に勘三郎さんの両脇に2人並んだので
あ、ご子息ねとちゃんとわかりました。
最初のほうに出てきた三味線ソロの超絶テクにもしびれました。
かっこいいー!
<二幕 大津絵道成寺>
鴈治郎さんの早変わりが最大の見所。
美しい藤娘から鬼まで5回くらい変わるので眠くならずにすみました。
娘道成寺のパロディだそうで元々を知っているといろんな細かいところがわかって面白いらしい。
でもそれがわからなくっても楽しめました。
10人のヤッコさんが出てくるところでは一人ずつ「とうづくし」と言って最後に「とう」がつくようにいろんなことを言っていくんですがここが笑わせどころ。
「夏はやっぱり生ビール つまみはフライドポテ”トー”」とか
「阪神6連勝 早く見たいな優勝パレー”トー”」とか
そんなネタが10連発。あー、あと何て言ってたっけなあ。
<三幕 野田版 研辰の討たれ>
歌舞伎なんだけどこれってほんとに歌舞伎と呼んでいいのかしら?と初めてみる私が思っちゃうくらいのはじけたお芝居。野田版となっている通り、野田秀樹さんオリジナルではなくもともとある話をもとに脚本をアレンジしたそうです。
刀の研ぎ師から侍になった辰次が主役で勘三郎さん。
生まれつきの侍じゃないからいわゆる侍魂みたいなのはこれっぽっちもなくって赤穂浪士の討ち入りの話をみんなの前で馬鹿にしてボコボコにされちゃったりする。
その腹いせに家老を驚かせようと辰次が大仕掛けのからくりを作らせたら効果がありすぎて家老は急死。
そんな死に方では武士の名折れ、ということで家老は辰次に斬り殺されたことにされ、家老の息子二人(染五郎と勘太郎)は仇討ちするまで一生帰ってこれない旅に半ば無理やり出されてしまいます。
あまり難しい言葉を使っていなかったり時々ギャグが入るので歌舞伎という言葉からは想像もつかないほど客席は爆笑。波田陽区とかあるある探検隊とかウエストサイドストーリーの群舞とか金髪のヅラをつけた喜多さん乱入とかもうなんでもあり。
あと書くのを忘れてましたが辰次の袴と黒子さんの衣装は迷彩柄!
辰次が兄弟達から逃げ回っているときに突然3階席に登場してびっくり!!!え?いつの間に!
でも顔を隠していたので実は別の人…?
仇討ちがかっこいいとされている時代なのでこれから仇討ちをする兄弟に結婚してくれと猛烈にアタックしてくる姉妹がいたりたくさんの野次馬がやれ!とはやし立てたりしてるんですけど、兄弟が辰次を見逃す、と言った瞬間に
姉妹はそっぽを向いて次の仇討ち現場にみんなあっという間に去っていってしまうのは野田流の無責任な世間への皮肉でしょうか。
みんなが去って辰次一人になったところを狙って兄弟は辰次を結局殺してしまうのだけれど兄弟はちっとも嬉しそうじゃなくて後味悪そう。そして残された辰次の亡骸に空から色づいた葉っぱが一枚はらり。
最後は悲しい結末でした。
そして最後まで歌舞伎っぽくなくカーテンコールがあったりスタンディングオベーションしてる人がいたり。
ぜひとももう一回見に行きたいなあ…
そういえばF1の時期は名古屋で襲名披露やってるんだよねえ。
しかも重たいかぶりものを親子で回す「連獅子」があるらしい。
うう、立見でも並ぼうかしら。
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