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2006.04.29

鴻池朋子展「chapter #0」

Achi

GWは皆さんどこに行っているのでしょうか?
私は3-4月にTMRとaccessで4公演も行ったので当然どこにも行けないのですけど。
とはいえ目と鼻の先に観光地があるんだからお手軽に観光客気分を味わえばいいじゃん!
というわけで大原美術館の恒例となっている有隣荘の特別公開へ行ってきました。
今回の展示は現代美術作家の鴻池朋子さんの作品です。

実は鴻池さんの作品を見るのは全くの初めて。
公開して最初の土曜日にギャラリートークがあったので作家さん本人の解説が聞けるのならわかりやすいし。
会場に着いて説明を読んで知ったのですが鴻池さんの最新シリーズの集大成的なものらしいです。

<大原美術館ホームページより>
2005年1月に東京都現代美術館の「第4章 帰還—シリウスの曳船—」からスタートし、3月に森美術館で「第3章 遭難」、4月にはミヅマアートギャラリーでの「第2章 巨人」と、4つの絵画からなる物語を最終章から逆向きに発表してきた鴻池朋子。今回ついに残る「第1章」が初公開となり、この物語の完結とともに4つの作品が初めてて一堂にそろい、”物語”の全貌が明らかになります。

1〜4章の絵画は大原美術館から少し歩いたところにある倉敷アイビースクエア内の児島虎次郎記念館(児島さんは画家であり大原美術館の初期作品の西洋絵画を買い付けしてた人)に展示されてるとのことで有隣荘では立体的な造形物が置いてありました。
ほとんどが今回の展示のために作られたものとのこと。

まずは有隣荘のほうから見学スタート。
入口でチケットとともにちょっと変わった地図を渡されました。
冒険小説の裏表紙にありそうなタッチのどこか異国の土地のような地図ですが右上に書いてある文字を見ると「Chapter #0 episode achi」とあります。
achi…って阿知、つまりこの場所ってこと?
地図には番号が振ってあって裏面には各場所の解説があります。
つまり作家さんが新たに作り上げた倉敷中心部の地図だったんです。
倉敷駅や大原美術館、図書館、博物館、教会など確かに知ってるおなじみの場所が書き込まれています。裏面の説明も面白くって、

「朝9時から夜24時までの巨大スーパー、円盤が降りてきそう」
「その病院の8階には、約3000種類もの昆虫が眠る館がある」
「一匹また一匹と、主人を亡くした犬たちはここにやってきて屋根に住みついた」
「闇に包まれた山の頂上を見上げると、赤と緑のXが明滅している」

これらは倉敷に住んでいる人ならばおなじみの場所ばかり。
こんなちょっとくすっと笑ってしまう文章がたくさんあります。
入場者全員に配られるこの地図、あまりにも出来が良いからか、ミュージアムショップで販売もしてました。

前回のやなぎみわ展のときに初めて入ってもう有隣荘の間取りは頭の中に入っているのであの部屋がどんな風になってるんだろう?とわくわくしながら中に入ると。
巨大な銀色のオオカミのオブジェがまずはお出迎え。
棚や温室、暖炉の上は割れた鏡がびっしり敷き詰められててがらりと雰囲気が変わっていました。
他にも畳の間に池が出現していてモノクロのアニメーションが上映されてたり。うっかり通り過ぎてしまいそうなところにも作品があってスタッフさんが教えてくれたり。
でも庭にある仕掛けはお客さんが自分で気づいてもらいたいという意図があるのか自分で発見してから「あ、気づきましたね?」と声を掛けられました。
まさか木のあんな高いところにあんなものがあるなんて…
あと2階へ行く階段の途中でしか見えないある場所にも仕掛けがあったり。
2階にはオオカミの毛皮で出来た大きな球体が。
「狼玉」とでも呼べばいいのでしょうか。これはかなりインパクトありますよ。
他に「episode achi」の原画もありました。

その後徒歩で児島虎次郎記念館へ。
1章から4章まで4枚の巨大絵画が並んでいてとにかく壮観。
さっきの有隣荘で見たモチーフがたくさん描かれています。
2章から4章はこんな感じ。
http://www.mizuma-art.co.jp/_artist/konoike_j.html

1章はまだタイトルがついていませんでした。

午後からのギャラリートークは記念館の中で1章の絵をバックにして行われました。
約2時間の構成で前半が鴻池さんと高階館長で作品について、後半は鴻池さんが倉敷のことを質問してみたいとのことで大原理事長(美術館創設者のお孫さん)とファッションブランドIKUKOの郁子社長が加わって倉敷のことを話すという感じでした。

1章の絵はほんとうに出来上がったばかりなのでまだタイトルを決めかねている、とか自分でも4作品をこうやって一度に見るのは初めてだったので搬入のときは感慨深かったとか、有隣荘での作業はのどかな春の日にこの空間を独り占めできてとても幸せな時間だったとかいろんなお話を聞くことができました。

後半では鴻池さんから大原理事長へ有隣荘について質問が。
有隣荘は迎賓館として使っていたのでお客さんが来たときしか理事長本人も入ったことがなかったそう。
幼少時代の大原少年が「どうぞこちらへ」なんてお迎えしたりしてたそうですがお客さんに説明を求められても自分もめったに入れないからうまく答えられなかったそうです。
現在の自宅も重要文化財であることへの不便さについての質問には冬は風が部屋の隙間だけでなく床からも吹き上げてくるんですよ、と笑っていました。当然ながらうかつに釘は打てないとのこと。
でも壊さないようにきれいに塩漬け状態で保存することよりも少々壊れることがあってもそこに人が住み続けることが大切だと思って住んでいるんですよ、という言葉がとても印象的でした。

あと郁子社長が「小さい頃美術館近辺を遊び場にしてたらそこだけ雰囲気の違う人をよく見かけた。(当時唯一の西洋美術館だったから)
きれいなお姉さんに『いいところに住んでいるわね』と褒められてもそのときはぴんとこなかった。上京して周りの友達にも同じように羨ましがられた。一度外に出ることで改めて倉敷の良さを実感した」という感じのことをおっしゃっていたのも心に残りましたね。
私も倉敷を離れたことがないのであまりぴんときてないのでふーんそうなのかと思ったり。

大原理事長がオオカミつながりでオオカミと暮らす女性ピアニスト、エレーヌ・グリモーさんの本を鴻池さんにプレゼントしていました。
なんとグリモーさんのリサイタルが昨年倉敷で行われていたのだとか。
ええー!知ってたら行ってたのに。

トーク終了後はもう一度有隣荘へ寄ってお庭の隠れキャラをしっかり発見してきました。

会期は5/28までなのでお近くの方は絶対行ってみたほうがいいですよ。

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