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2010.01.10

サイエンスカフェ岡山

サイエンスカフェに今回も参加してきました。

今回の会場は、日本銀行岡山支店跡地を多目的ホールに改装した、ルネスホール。

Hall

Sign

入り口のところであかつきへの寄せ書きを募っていました。
私はJAXA-iで書いてきたので今回はパス。

今回のテーマは「人に寄り添うロボットテクノロジー」
講師は筑波大学の先生とベンチャー企業サイバーダイン社CEOと二足のわらじを履く、山海嘉之先生。

前半はまず山海先生からの説明。

子どもの頃に読んだ、アイザック・アシモフの「われはロボット(i,robot)」に影響を受けた話、世界中で翻訳されているi,robotを蒐集しているそうです。
アシモフといえばそう、ロボット三原則。

小学生のときの文集ですでに研究者になりたいと書いていた!
しかも「科学とは 悪用すれば 怖いもの」との言葉まで。
まさに三つ子の魂百まで!!

ぶっちゃけ、世界中の軍関係からのオファーはひっきりなしに来るらしい。
ここだけの話とおっしゃっていたので詳しくは書かないでおくけど外で食事中にテーブルにやってきて自己紹介されるなんてこともあるんだとか。
発表前の研究内容にも詳しくて、日本の機密ダダ漏れっぷりに苦笑。
しかし山海先生の中に「ロボット三原則」がしっかりとしみついているので人の生活に役立つ研究しかやらないと軍事目的のオファーはどんなにお金を積まれてもお断りしているとのこと。かっこいい…!
鉄腕アトムを見て育った世代でもあるのでロボットと人とがどうあるべきかも芯の通った考えをお持ちの様子。
アイザック・アシモフと手塚治虫がこんなにも未来の研究者に影響を与えているのですね…!

あと、内閣や政権が変わるたびに何度も説明するのが正直めんどいらしい(笑)
プロジェクトの重要性は理解してもらえたものの仕訳けで減額されたんだって…

前半パートの最後に下半身の歩行補助用ロボットスーツを装着したスタッフさん登場。
すぐ休憩に入り、みんなコーヒーとケーキを取りに行くのだけどそっちのけでロボットスーツのほうへ向かう私(笑)
同じような人たち10名前後でスタッフさんを取り囲んで写真を撮ったり仕組みについて矢継ぎ早に質問攻めに。

ロボットが勝手に動いたりすることはなくて、
動こうとするときに神経から筋肉に伝わる微弱な信号をキャッチしてその動きをサポートするように動くそうです。
なのでただ装着するだけではなく、実は両脚で合計9箇所も検知用のシールを貼り付けているそうです(1箇所の筋肉につき2枚と中心に1枚)
腰に調整用のボタンがあり、動きの微調整が自分でできるとのこと。
そして動こうとする信号さえ出ていれば、他人に動きを押さえられていてもロボットは動くし、他人に足を曲げられてもロボットは反応しないんです。

グッドデザイン賞を取ったことがあるだけあって機能だけでなく見た目もちょっとかっこよくないですか?

Hal1

靴もスーツの一部で重心の移動状況がリアルタイムにパソコン上に表示されています。

Stage

後ろについてるバッテリーはこのサイズで1時間半~2時間程度駆動可能とのこと。

Hal2

後半は参加者からの質問コーナー。

先生の口から、鋼の錬金術師やらパトレイバーやらマクロスFなどの単語が出てきたのにはびっくり!
マクロスの監督さんはどうやらこういうつながりがあったようで。
Robot-ニュース--河森正治×山海嘉之×古田貴之×瀬名秀明が語るロボット技術のあるべき姿とは

ハガレンのオートメールは装着してから使えるまでにかなり時間がかかりますがこのロボットスーツなら4時間程度で使えるようになるそうで、現実のほうが空想を上回っているという事実に驚くばかり。

現在は病院やリハビリ施設にレンタルをしているそうで、
それは販売するとあまりにも高額だと使ってもらえなければ研究した意味がないし使用状況をきちんと把握しておきたいからというのもあるそうです。
いずれは個人宅で使ってもらえるようになりたいと思っているとのこと。
感動したエピソードとしては、生後11ヶ月でポリオに感染して歩けなかった方が45年ぶりに歩けるようになった姿を見たときにはさすがにスタッフ一同うるっときたそうですよ。ええ話やなー。


より高く跳んだり走ったり、空を飛んだりするようになるか?という質問には、人の生活を支えるための研究がまずは最優先なのでそこまでは考えていないとのこと。
ロボット作りはそれ自体が目的なのではなく、人の生活をよりよくするための手段であるべきだ、と。
そういう考え方なので、二足歩行ロボット実現へこだわってはいないみたい。
「カーテンを閉める二足歩行ロボットを作るよりも声で指示を出したら自動で開閉できるカーテンがあればいいし、床に落ちた薬を拾えるロボットがあったって落ちた薬を飲みたいとは思わないでしょう?」って。


教育関係者の方からは子どもが山海先生のところに進路を希望する場合、どういう勉強が必要だと指導すればよいか?という質問が。
その答えは「何でもいいからとにかくマニアックになること」。
誰でもできるようなことを身につけても、それはその子でなくても代わりがいくらでもいるわけで、これだけは!という熱中できる何かを身につけるそんな人になってほしいとのことでした。なるほどなー!
あと英語は基礎としてどうしても必要なのでなんとかして勉強してほしいと。

映画「アバター」の話題も出てました。
山海先生はストーリーは知ってるがまだ見てないとのこと。
アバターの主人公は体は別の場所にあって意識を飛ばして別の惑星で別の体を動かしているという話(で合ってますよね?)なのですが、
そのアバターが体験している物理的な動きは本体にフィードバックされてません。
先生のロボットスーツを使うとそれすらも可能なんだって!!
ここで言えるだけでもそんな感じなんだからいやはやスゴイもんですね。
そんなめっちゃくちゃスゴイ先生がお忙しいのにもかかわらず来てくれたのはご自身が岡山市出身だからで、岡山からのオファーであれば、できる限り受けるようにしているんだそうですよ(嬉)。

最後には全員がロボットスーツを取り囲んで実際に体験。

さすがにズボンを脱いでシールを貼って…というわけにもいかず、
腕に貼って動かしてみるという感じで数名が体験。

予定時間を多少オーバーしていたようですがとっても話がお上手なので面白くってほんとうにあっという間でした。
いやー行ってみて本当によかった!!

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